8月13日、米通商代表部(USTR)は、対中追加関税措置の発動を一部延期する、と発表した。米中貿易摩擦問題にとって良い内容であり、株式市場、外国為替市場は、このグッド・ニュースに飛びついた。
米国株式は急上昇し、外国為替市場では大きく「ドル買い円売り」となった。ドル/円レートで見ると、1ドル=105円台前半から107円近くに急騰した。短時間で約2円の急上昇である。
これまで安値更新を続けていた豪ドル/円も、この米中関係改善の兆しを好感してか、1豪ドル=71円程度から73円程度に急上昇した。
しかし、このニュースから程なくして、トランプ大統領は、米国のクリスマス商戦で個人消費が落ち込まないように配慮しただけで、対中国の関係が進展した訳ではなく、対中国に関して手を緩めるつもりも無い旨の発言をしている。
つまり、8月13日のこのニュースは、一過性のグッド・ニュースに過ぎなかったのである。
トランプ大統領は、中国との貿易摩擦問題を、大統領選挙で再選するための重要なテーマ(材料)と考えているのだろう。
中国が圧倒的に屈服して、トランプ政権の要求通りに従うのならば、早期に解決するのだろうが、そうでない場合は、トランプ大統領は米国民にアピールするために、中国に対して強い要求を出し続けることになる。
プライドが高く面子を重んじる中国が、米国に圧倒的に屈服することは考えられない。米中の貿易摩擦問題は、簡単には解決には向かわないだろう。