連続して利下げが断行されているオーストラリアの政策金利
ここで、オーストラリアの金融政策について述べておきたい。
半年前の2月6日に、オーストラリア準備銀行(RBA、豪州中央銀行)のフィリップ・ロウ総裁が、シドニーで講演し、失業率が増加しインフレ率の停滞が続く場合は、金融政策で利下げが適切である、と述べた。
RBAは、2016年8月以降、政策金利を過去最低の1.50%で維持してきた。2月6日より以前のロウ総裁は、「RBAの次の金融政策は、利下げよりも利上げになる可能性が高い」と述べてきたが、この講演では「金融政策が上にも下にも向かう可能性がある」と表明したのだ。
私自身、2月6日の時点で、RBAのスタンスが転換したこと、言い換えれば、オーストラリアの金融政策が金利引き上げから金利引き下げに代わったことに、注意を払う必要がある、と判断していた。
RBAが、利下げに向かう可能性を表明したことは、米中の貿易摩擦問題が原因だろう。米中の貿易摩擦問題が中国国内での生産を抑制することに繋がるので、その結果として、中国の原材料の輸入が減少している。
オーストラリア経済は、中国への輸出依存度が高いので、その影響が出ているのではないか。
2月のロウ総裁の発言から、随分と時間が経過したが、ついにRBAは、6月4日の金融政策理事会で、政策金利を0.25%引き下げ1.25%とすることを発表した。理事会後のアナウンスメントでは、その理由を丁寧に説明している。
しかし、根本的な理由は、米中貿易摩擦問題がオーストラリア経済に悪影響を与えていることだろう。6月4日にRBAが利下げを実施したことで、それを確認できた格好だ。
さらに、RBAは、7月2日の金融政策理事会でも、政策金利を0.25%引き下げ、1.00%とすることを発表した。前月(6月)に続いて、連続して利下げを断行したことになる。
7月の金融政策理事会後の声明では、さらなる追加利下げの可能性があることも示唆した。豪ドルの政策金利は、まだ下がる可能性が高い、ということだ。