中国の上海総合指数は、4月19日終値3270.80ポイントを天井として下げ相場となっている。足元では戻り歩調となっているものの、8月19日の終値は2883.1ポイントで天井から▲11.9%ほど下げた水準である。
下げの主な要因は、景気減速、人民元安懸念など。米中貿易戦争の激化や当局による人民元安誘導、さらに、足元の景気よりも構造改革や不動産バブル抑制を優先させる経済政策への失望などが投資家心理を悪化させている。
全体のマクロ経済だけに注目していると投資チャンスに乏しいように思われるが、そうした中でも強い上昇相場を形成している銘柄がある。
たとえば、8月19日におけるプリント基板メーカーである滬士電子(002463、深センA株)の株価は19.00元で、4月19日と比べ53.0%上昇している。生態認識システム開発の深セン市匯頂科技(603160、上海A株)は48.7%上昇しており、チップインダクターメーカーの深セン順絡電子(002138、深センA株)は22.2%上昇している。
セクターで示すと、半導体、電子部品、コンシューマーエレクトロニクス関連などに資金が流入している。もう少し細かくみると、華為技術、アップル、小米などのスマホ関連、5G、有機EL、音声識別、ウェアラブル・スマート・デバイス、スマートスピーカーといったところの値動きが好調である。
こうしたセクターは「中国製造2025」(2015年に発表した今後10年間の製造業発展のロードマップ)の中核をなす企業群である。華為技術(ファーウェイ)への禁輸措置を含め、トランプ政権が行う対中強硬策の効き目は、限られるのではなかろうか。少なくとも中国本土投資家たちは、そう考えているのではないか。