販売開始からわずか1分で在庫切れ
中国本土スマホ市場でトップシェアを誇るファーウェイは8月16日、初の5G対応機種となる「華為Mate 20 X 5G」の発売を開始。15日正午時点の予約台数は100万台を超えており、16日10時8分の一斉販売後、僅か1分で、ファーウェイのHPはもちろん、京東商城、天猫商城などの大手販売ルートでも、在庫切れとなっている。
華為Mate 20 X 5Gの仕様は、7.2インチの大型有機ELパネル、独自開発の5G対応チップセット「バロン5000」、7nmのSoC「麒麟980」を使用。RAMは8GB、内部メモリは256GB。レンズは世界的に評判の高いライカとの協業による高画素のものを搭載している。値段は6199元(9万3605円、1元=15.1円で換算、以下同様)である。
4G対応のMate20 Proが5099元(7万6995円)なので、価格差は21.6%に過ぎない。多くの業界関係者は、ファーウェイは利益を度外視してシェアを取りに行く戦略を採っているのではないかとみている。この程度の価格差なら、4Gからの買い替えが爆発的に進むのではないかと予想するアナリストも少なくない。
当面、映画、テレビドラマなどの視聴が格段にスムーズになるとか、より複雑なゲームが開発されるとかいった違いぐらいしか目立たないかもしれないが、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、IoT(モノのインターネット)への応用が広がるにつれて、5Gスマホへの需要は急拡大する見込みだ。音声認識、AIの進化、自動運転技術の進歩なども加わり、5G時代の情報通信需要は4G時代を大きく超えて広がるだろう。
アメリカはファーウェイを封じ込めたいようだが、フランス、ドイツは既に、はっきりと“封じ込めるようなことはしない”と公表している。
アメリカ商務省は5月15日、ファーウェイと関連する68社をエンティティー・リスト(EL)に加えると発表。移行期間を設けたが、8月19日にはそれも終了した。ファーウェイは事実上、アメリカ製品の調達ができなくなる見込みであったが、直前になって一部の分野において禁輸措置を90日間、延期すると発表した。一方で、漏れの無いように関連会社46社を新たにELに加えるとしている。
これに対してファーウェイは、「禁輸措置を延長しようがしまいが、ファーウェイの経営に与える実質的な影響は限られる。ファーウェイは引き続き自分たちの製品をしっかりと作り、グローバルの顧客にサービスを提供していくだけだ」としている。