電話をかけてきていたのは、面識のない若い男性だった。連絡先をどこで入手したか尋ねたところ、ある法人向けの名刺管理サービスの名前が出てきた。
「彼の会社では、従業員が交換した名刺の情報を、全社員が閲覧できるように情報を登録するそうです。私の連絡先もそこで調べたとのことでした。登録したのが誰なのかはわかりませんが、勝手に共有され、営業リストとして使われてしまうことには悲しく思います」(Aさん)
名刺アプリ上で、企業の採用担当やヘッドハンターから連絡を受けたことがあるというのは、30代の女性会社員・Bさんだ。
「あくまでも名刺情報を管理する目的で利用しているだけですが、そのアプリ上では、簡単な職歴やプロフィール情報も公開しています。ある時、久々にアプリを立ち上げると、企業や転職エージェントからたくさんメッセージが届いていました。勝手に連絡がたくさん来て、まるでこちらが連絡を無視しているような状態になっていることに、気持ち悪さを感じました」
営業リストを管理したい企業にとっても、交換した名刺を管理したい個人にとっても便利なサービスではあるが、自分の情報がどう扱われているのか、ユーザーはきちんと把握しておかなければならないだろう。