国が新たな税制をつくり、あるいは増税する時には3つの原則がある。(1)取りやすいところから取る、(2)小さく生んで大きく育てる、(3)臨時増税なのに恒久化する──である。
だが、国民から徴収された税金の本当の使い途は藪の中でわかりにくくされ、どこまでも辿っていくと、本来の目的から離れた“税金の残骸”というべき奇怪な遺物にたどりつく。
「あの税金は何に消えたか」──30年前に創設された消費税の行方を追跡した。
国民は増税に“寛容”になった。「社会保障のため」「子孫に借金を残さないため」といわれれば、“やむを得ない”と増税を受け入れてしまう。今年10月からの消費税増税にあたって、安倍首相はこう説明した。
「消費税の使い道を、子育て世代への投資と社会保障の安定化とにバランスよく充当し、併せて財政再建も確実に実現する」
平成元年(1989年)4月に消費税が創設されたとき、時の竹下登首相も、「高齢化への対応」と「財政再建」を掲げ、「国民に広く浅く、公平に負担していただく」と述べていた。