よしもと所属の女芸人・鈴川絢子もYouTubeの成功者の一人ではないだろうか。彼女は電車関連の動画を配信しており、その中でも子供向けのコンテンツが人気だ。テレビで見かけることはほとんどないかもしれないが、小さな子供を持つ親の間での知名度はかなりのものだろう。
最近、YouTube配信を始めたという、芸歴20年のある芸人が、こんなことを言っていた。
「テレビの世界は化け物ばかりなんですよ。だからテレビで売れるのは諦めました。で、自分の好きなことでYouTubeを始めたんです。カジサックとかに比べたらまだまだですが、チャンネル登録者数も増えてきて、少しずつですがYouTubeの収入が増えてきました。朝、携帯に前日にいくら稼いたかの通知が来るので、毎日パソコンを開くのが楽しみになっています」
少し前まではYouTubeに活路を見出そうとする芸人は、負け組のように捉えられていた面もあった。しかし、今では芸人がこぞってYouTubeチャンネルを作って自分の得意分野で勝負している。そこからテレビの仕事に繋がることも珍しくない。
そして彼ら/彼女たちは、たとえテレビの仕事が増えたとしても、“自分を育ててくれた”YouTubeでの配信を続けるのではないか。YouTubeというメディアが、芸人たちのあり方の新しい可能性を示すようになっている。
●文/矢口渡(芸人ライター)