たとえば月給25万円で働く人は毎月約2万4000円の保険料を天引きされるが、加入期間を1年延ばしたことで増える将来の年金は年額約1万6000円に過ぎない。元を取るのに20年近くかかるのだ。長く働けば年金の増額幅は大きくなるが、払う保険料も膨れあがる。
繰り下げ受給にしても、70歳まで遅らせると42%増、75歳まで繰り下げられるようになったら84%増、といった数字ばかり強調されるが、「住民税非課税世帯から外れてしまい、引かれる税・保険料が増えるので、手取りではそこまで増えない」(同前)ということは一言も書いていない。
※週刊ポスト2019年9月13日号