今年8月、ソニー生命保険が発表した中高生対象の「なりたい職業」意識調査によれば、男子では中学生で1位、高校生でも3位に「YouTuberなどの動画投稿者」がランクイン。今やYouTuberは、スポーツ選手や宇宙飛行士をしのぐ“憧れの職業”なのだ。
いったいどんな人がYouTuberになっているのか。既存の社会構造の中でも充分に活躍できる、いわゆる“ハイスペック”な素養を持つ人が、YouTubeの世界でもまた輝く、というパターンもある。
歌舞伎役者のような、白塗りに隈取メイクを施した奇妙な姿と、街の人や危険な場所への突撃動画が人気を博しているのが、YouTuberのカブキンだ。アメリカ育ちで英語はペラペラ、慶応義塾大学卒業で学生時代からバンドのメンバーとしてメジャーデビュー。大手レコード会社に所属していたという“勝ち組”の彼は、何を思って転向したのだろうか。
「バンドではそこそこいったんですが、音楽の世界は売れていても生活が苦しい。そこで、YouTuberについて徹底的に調べました。何が人気なのか、どうすればウケるのか、テロップ(字幕)の入れ方はどうすべきか……何から何まで。それで“これ、真面目にやれば稼げるな”と」(カブキン)
稼げるYouTuberになるために、関係書籍を読み漁るなど、研究に研究を重ねたとカブキンは言う。
「同級生に比べて稼いでいなかったので、マイナスからのスタートだなと思って。戦略的にやらなければと考えたわけです。どんな人をターゲットに、どんなスタイルで参入すれば売れるかマーケティングしました。
その結果、ちょっと変化球なキャラで、『キワモノ』っぽい立ち位置を狙おうとなったんです。YouTubeの流行は海外から入ってくることが多いので、英語力を生かして毎日リサーチしています。楽するつもりがバンド時代より忙しい」
彼が発したこんな言葉が印象に残った。
「大学時代やバンド時代には、かなりパチンコ屋に入り浸っていました。ずっと楽に稼ぎたいとか、不労所得を得るにはどうしたらいいのかということに知恵を絞っていました」
動機はともかくとして、才能あふれる人物が、さらに輝きを増したケースだろう。