日本でも最近、豚コレラが拡散し始めており、注目を集めつつある。2018年9月に岐阜市の養豚場で26年ぶりに感染が確認され、その後、拡大。9月14日の農林水産省の発表によれば、岐阜県、愛知県、長野県、滋賀県、大阪府、三重県、福井県、埼玉県で豚コレラの発生が確認されている。
豚コレラは、豚、イノシシの病気であり、人に感染することはないが、豚、イノシシには強い伝染力があり、致死率は高く、畜産農家にとって感染防止は急務である。
今のところ、需給に影響するほどではないので、価格面、関連企業の業績面で影響が出ているわけではなさそうだが、今後の拡散状況によっては供給減、価格の高騰、関連企業の業績変動が起こるかもしれない。
一方、中国では、昨年8月、アフリカ豚コレラが発生、その後急拡大した経緯があり、現在も大きな社会問題となっている。日本で発生している豚コレラとは全く違う種類ではあるが、伝染力が強く、致死率が高い点では同様だ。豚コレラは中国経済にどのような影響を与えているのだろうか。
まず、目立つのは価格上昇である。国家統計局によれば、8月の豚肉価格は前年同月比で46.7%上昇した。中国の消費者物価指数(CPI)は食品(酒、タバコを含む)の占めるウエイトが高く、全体の29.3%を占めている。中国料理では豚肉がよく使われるが、CPIのウエイトは2.3%ほどある。全体のCPI上昇率は2.8%で、7月と変わらないが、豚肉価格の上昇だけでCPIを1.08ポイント引き上げている。
豚肉価格の上昇は豚肉を原材料とする食品メーカーにとっては痛手であるが、豚の生産者、輸入会社にとっては、販売価格の上昇が大きな利益を生む。そのほか、ワクチン製造、開発を行っている企業は収益拡大に繋がる。
実際に材料視されて株価が動いた銘柄を挙げると、養豚会社の湖南新五豊(600975、上海A株)、牧原食品(002714、深センA株)、養豚事業も手掛ける豚肉メーカーの山東龍大肉食品(002726、深センA株)、山東益生種畜禽(002458、深センA株)、河南双匯投資発展(000895、深センA株)や、飼料の生産のほか、動物用ワクチンも手掛ける天康生物(002100、深センA株)などが関連銘柄として投資家の注目を集め、株価が上昇した。
香港銘柄では、養豚事業も手掛ける豚肉メーカーの万州国際(0288)、中国雨潤食品集団(1068)、中糧肉食控股(1610)といったところの株価が大きく動いている。