もちろんサラリーマンたるもの、一発芸をやらされることをチャンスの場と捉えることもできる。
「私の場合、一発芸は上司への貴重なアピールの場になりました。私は大学時代に野球をやっており、宴会で“プロ野球選手のバッティングフォームのマネ”をしたところ、それがウケたため、役員に顔を覚えてもらい、随分と可愛がってもらいました」
ただ、新入社員たちはただでさえ仕事が大変。宴会芸など練習するヒマがあったら、仕事のための勉強をしたり、身体を休めたりしたいはずだ。そのことは多くの社員が感じているが、若手の先輩社員たちが宴会芸の廃止にストップをかけているという。
「忘年会の時期が近付いてくると、新入社員たちは年次の近い先輩に、どんな芸をやったか聞いて回りますが、そうすると先輩たちは、『オレたちの時は○○をやった』『メチャクチャ盛り上がった』と、後輩を煽るんです。結局、『オレたちはあんなに苦労したのに、コイツらは何もやらないなんて許せん』という意識が働くのでしょう」
昨年は、ネタが被った者がいて、止む無く同じネタを披露したところ、酔った上司がクドクド説教する悲劇も発生。ただ、今年もすでに会場は押さえられており、これから新入社員たちは地獄の自主練習に励むことは確実の情勢だそうだ。