では、資産を持たない層が75歳まで働いたらどうか。サラリーマンが雇用延長期間の65歳を過ぎて再就職するケースでは、職種は限られ、求人があったとしても給料は10万円台などが大半だ。
その間、年金を我慢すれば給料で生活費を賄わなければならず、「貯金して運用する」余裕はない。60代で2000万円以上の金融資産を持つ層は、老後の30年間を余裕を持って生活できるが、75歳まで働く“下流老人”はその間、生活に追われるという「老後格差」は歴然としている。
75歳になって夫婦で40万5000円の年金をもらうようになれば、下流世帯にも初めて生活に余裕が生まれる。しかし、それを蓄えて95歳で1800万円の貯金ができて、それから上流老人のように運用できるといわれても現実的ではない。
※週刊ポスト2019年10月11日号