10月1日からいよいよ消費税が10%になった。食品を持ち帰る場合などには8%の軽減税率が適用されるが、それとともに増税に伴う“負担軽減策”として、キャッシュレス決済によるポイント還元もある。クレジットカードなどで決済すれば、最大5%のポイント還元となる制度だ。「おばあちゃんの原宿」と呼ばれる巣鴨地蔵通り商店街では、どう受け止められているだろうか。
こちらでは、街をあげてキャッシュレス化推進に取り組んだが、増税までに準備が間に合わない店も多かった。
「キャッシュレスの事業者と提携してクレジットカードや交通系の電子マネー、スマホ決済のペイペイなどを商店街全体で使えるよう準備していますが、10月が近づくにつれて業者が忙しくなり増税スタートに間に合わないところもありました」(巣鴨地蔵通り商店街振興組合理事のコバヤシ洋傘店店主)
せっかく導入したのに現場でドタバタするケースも見られた。
「母が『ズボンが欲しい』と言うから付いてきました。現金払いなら10%だけど私のカードを使えば5%還元になりますから」と話したのは、同商店街の衣料品店「サン・まつみや」に80代の母親とともに訪れた60代女性だ。
母親は外税2300円のズボンを選び、カードで支払うことになった。本来は消費税10%で2530円になるが、カード払いだとポイント還元で5%分の115円が戻る。
だが店長の松宮初枝さんがカードを何度読み取り機に差し込んでも、機械はウンともスンとも言わない。気まずい沈黙が続いた後、松宮さんはこう言った。
「あまりお待たせするのも申し訳ないので、この商品は消費税ナシの2300円で結構ですよ」