退職金は一括でもらう方法と年金方式でもらう方式がある。そして、退職金を年金方式(企業年金)でもらえば、年2%台の利回りがつくケースもある。
「退職金を一時金(一括)で受け取って金利が低い定期預金に置いておくなら、利回りのいい年金型でもらったほうが得だ」
そう考える人は少なくないかもしれない。
しかし、年金受給との兼ね合いを考えた場合、そこには落とし穴がある。“年金博士”として知られる北村庄吾氏はこう指摘する。
「収入が厚生年金だけであれば税金や国民健康保険料などは非常に安く済みます。ところが、それに毎月何万円かの企業年金が上積みされるだけで、税金や保険料がハネ上がってしまうケースが多い。
多少利回りが良くても、そうした負担増を考えると損失の方が大きい。退職金は大きな所得控除を受けられる仕組みがあるため、全額一時金でもらって税金をまとめて支払ったほうがトータルでは得になるでしょう」
退職金を一括で受け取ると「退職所得控除」が受けられるので税制上のメリットは大きい。例えば大卒から38年間勤務した一般的なサラリーマンの場合、退職金を一括でもらっても最大2060万円まで税金がかからない。こうした制度をうまく活用したい。
※週刊ポスト2019年11月1日号