いわゆる「意識高い系」という言葉はネガティブな意味合いで使われることが多い。Wikipediaの同用語の説明については「自分を過剰に演出する(言い換えれば、大言壮語を吐く)が中身が伴っていない若者、前向きすぎて空回りしている若者、インターネットにおいて自分の経歴・人脈を演出し自己アピールを絶やさない人などを意味する俗称である」と書かれている。ネガティブに捉えられがちだが、その実態はどうなのか。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏(46)が、これまで出会ってきた「意識高い系」若者たちの印象について綴る。
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私はここ数年、若者と飲んだり一緒にイベントに登壇することがとみに増えてきました。彼らは「意識高い系」と傍目には見えると思います。業界をまたいだ友人が大勢いて、積極的にSNSで情報発信するだけでなく、勉強会にも積極的に参加し、読書量も多い。
Wikipediaの説明と異なるのは、彼らが「過剰に演出せず、他人に対して丁寧に接する」「空回りしていない。周囲の共感を得ている」「経歴・人脈は演出せず事実を書く」という部分です。
彼らのコミュニケーション能力の高さは、ややもすれば「お調子者」「他人に取り入るのがうまい」といったネガティブな評価を受けてしまうかもしれませんが、なんといいますか、年上の立場からすると、そうした様子がいちいち「可愛げがある」と感じられてしまうのです。
私はPR業務に関するゼミの講師をここ8年ほど続けてきましたが、そこで出会った歴代の若者たちとは今でも交流があります。積極的に年上の講師陣を飲みに誘ってくれ、ゼミのフェイスブックグループを作り、メンバー同士交流を深めている。時には合宿まで企画するし、ステップアップした転職を成功させたりもする。
個人の名で勝負できるようになった人も何人もいますし、彼らの成長を見ていると「チッ、目立ちやがって」や「オレの立場を脅かす存在になるのか、ケッ」なんてことは一切思わず、「おめでとうございます」や「よくこれまで頑張ってきましたね」と祝福やねぎらいの言葉をかけたくなります。