Bさんは、なぜクレジットカードをそこまで使ってしまったのか。
「キャッシュレス化したことで、せっかくならカードのポイントも貯めたいというのもあって、ついつい……。現金が減る感覚がある方が、僕には合っているのかな。減る状況が目に見えていないと、自分がいくら使ったのかわからない。しばらくはキャッシュレス決済とは距離をとろうかなと思っています」(Bさん)
Pay PayやLINE Payなど乱立するスマホ決済の還元キャンペーンに踊らされ、「もう現金とクレジットカードでいいのでは」とため息をつくのは、40代女性会社員・Cさんだ。
「お得と聞いて始めましたが、レジ前での操作に不慣れで意外と面倒くさいし、個人情報の流出も何だか怖いなと……。クレジットカードは普通に使いますが、“なんとかペイ”は、ポイントが還元されてもそれでしか使えない不便さがありますし。あと、先日の台風のときには、台風対策としてまず現金をおろしにいきましたね。停電になって、何も買えなくなるのが怖かったので」(Cさん)
Cさんの60代の母親も「目先のポイントに欲をかくと、かえって損する」「キャッシュレスは明細チェックが面倒くさい」と基本的には現金派で、必要なときにSuicaかクレジットカードで十分だと、スマホから決済アプリを削除したという。
「仕事柄、高齢者の方ともよく会うのですが、キャッシュレスで一番戸惑いを抱えているのは高齢者だと思います。得体の知れないもので詐欺にあうのではないかと不安視する人も結構多い。ただでさえ不慣れなスマホで、また操作が増えるのも面倒なようです。そんな実態があるのに、キャッシュレス決済のほうがお得とされることに疎外感をおぼえる高齢者の方も少なくない印象です。難しい問題ですね」(Cさん)
キャッシュレス化が推進される日本だが、まだまだ現金派が根強い背景には、便利さよりも不便さや不安の方が上回ってしまう実情があるようだ。