10月から消費税増税とともに、生活必需品の税率を8%に据え置く「軽減税率制度」がスタートした。同時に開始したキャッシュレス決済を推進するポイント還元も含め、開始前から制度の複雑さや、対象品目の決定プロセスの不透明さを疑問視する声は多かったが、実際の生活にはどんな変化があったのか。消費者の声を集めた。
外食への心理的なハードルが上がった
子供2人とともに家族4人で暮らす30代の主婦・Aさんは、外食時の税率が10%になったことによる家計への影響を語る。
「かつては家族4人で、月3回はファミレスで外食していましたが、軽減税率の開始以降は、頻度を減らし、極力スーパーの惣菜や、テイクアウトだけで済ませるようになりました。2%の増税分の金額の差はわずかかもしれませんが、少しの節約も“ちり積も”で、家計には大きな影響を与えます。外食への心理的なハードルが高くなった気がします」(Aさん)
キャッシュレス施策に対してメリットも感じつつも、制度の不備に対しての不信感も募っているという。
「ポイント還元もあり、コンビニではスマホでの決済を選ぶようになりました。ただ、地元のスーパーや家電量販店では、いまだに現金払いじゃないと店舗独自でのポイントが貯まらないことが多い。制度も複雑だし、かえって消費を控える家庭も多いのではないでしょうか」(Aさん)
イートインが減り、歩き食いが増えた
20代の男子大学生・Bさんは、軽減税率により、コンビニのイートインを利用する回数が減った。
「必ず持ち帰りをするようになりました。ただしホットスナックだと、冷めてしまうのが嫌なので、歩き食いすることが増えましたね。食べる場所で税金が変わるなんて、おかしな制度だなと思います」(Bさん)
一方、30代の男性会社員・Cさんは、軽減税率の適用以降にこんな経験をしたという。
「馴染みのコーヒーチェーンでは、店員がまるでパトロールするかのように、机の上に置いたレシートをのぞき込んでくるようになりました。持ち帰りといってイートインしている人がいないかどうかチェックしているのかなと思いますが、疑われているような、なんだか悲しい気持ちになります」