消費税が10%に増税されて、はや1か月半。事前から駆け込み消費の有無が議論されていましたが、経済産業省が発表した9月の商業動態統計によると、小売業販売額は前年同月と比べて9.1%増の12兆5890億円。前回、消費税が8%に上がる直前だった2014年3月以来の高い伸びを示しました(その時は11%増)。景気の先行きに楽観的な見通しが持ちにくいなか、自分たちの家計を何とか防衛しようという、根強い意識がうかがえます。
限られたお金を有効に使うため、人それぞれに家計のやりくり術や防衛策があるのだろうと思いますが、先日、都内在住の30代男性から、こんな話をききました。
「自分はとにかく、無駄になる買い物を避けたい。だから、“値引きしているけど返品NGの商品”と、“通常価格だけど返品OKの商品”とだったら、迷わず返品OKの方を選びます」
筆者は「え? 安いほうがよくない?」と思ってしまうのですが、そこには彼なりの買い物哲学があるようでした。彼が言うには、
・買い物は、基本的にEC(インターネット通販などの電子商取引)を利用。届けてもらうほうが楽だし、店に行って商品をあれこれ探し回る手間もかからない。
・とはいえ、失敗したくないので、まずはネットで商品レビューをひたすら調べる。星2つでも「これこれがイマイチ」「他の製品と比べてみた結果この評価」など、よくない部分もしっかり書いてあるものを重点的にチェック。
・返品可能か、返品しやすいかどうかを確認。セールになっている商品は返品NGのものも多いため、それは避ける。
・届いた商品を使用してみて、自分に合わなければ返品、あるいは交換。かなり使ってしまうなど、もはや返品できそうにないものはフリマアプリで売る。が、それはもう“負け”。
失敗しないための彼なりの防衛策ですが、直接商品を確かめることが難しいECに対して慎重になってしまうという点には、共感できる人も多いのではないでしょうか。