働き盛りの一家の大黒柱が、ある日突然うつに…。近年、40~50代男性のうつ病発症が増えている。うつ病の治療は、早くても3か月、たいてい数年はかかるもの。お金もかかるうえ、夫が働けないので収入減は避けられない。そんな時、どのように対処したらよいのだろうか。夫と家計を守る方法を専門家に教えてもらった。
「夫がうつ病だと診断されたら、妻はまず落ち着いて、状況の整理をしましょう」とは、社会保険労務士の井戸美枝さんだ。うつ病を発症した夫は、正常な判断ができないからだ。
「夫が会社員の場合、すぐに会社に連絡をして休職届を出しましょう。これには医師の診断書が必要(実費で5000円程度)。さらに会社には、夫の社会保障の種類と、休職中の給料など労働条件の確認をしておきましょう」(井戸さん・以下同)
会社員なら、休職中に『傷病手当金』が受け取れる。
「『傷病手当金』は会社が手続きします。4日以上休んだ場合、4日目から支給され、金額は給料の3分の2程度です」
会社で各種手続きをすると同時に、住宅ローンや保険の見直しも行おう。民間の保険には、給料保証型の『就業不能保険』があるが、精神疾患で支払われるケースはほとんどないからだ。また、治療費の負担が3割から1割に減らせる『自立支援医療制度(精神通院医療)』の申請も必須。
「注意したいのは、自治体の定めた『指定医療機関』の病院と薬局のみが適用されること。現在通院している病院がこれに該当しない場合、転院の検討を」