今年9月に国税庁が発表した民間給与実態統計調査によると、1年を通じて勤務した給与所得者の年間の平均給与は441万円。年収500万円なら平均を1割以上も上回る“勝ち組”と言えるかもしれない。しかし都内に住む40歳の男性・Sさんは、周囲から「結婚しないのか?」と話を振られる度に、「自分の年収では無理」と返事している。人並み以上の収入がありながら、なぜ無理なのか?
Sさんは都内の私大を卒業後、2度の転職を経て、30代前半に超大手企業の系列会社に就職。年収は賞与込みで500万円だ。直近の転職で年収は少し下がったが、親会社の安定度はピカイチの超優良企業。それでも彼が結婚に二の足を踏むのは、「お金」が理由だという。
「年収500万円が平均以上といっても、月々の手取りは20万円台半ばです。そこからまず家賃の8万円と、光熱費や携帯代などといった固定費で約3万円が飛び、食事はほぼ外食なので、昼食に700~800円、夕食時にはビールも1~2杯飲むので2000円程度かかります。後はタバコを2日で1箱、プロ野球を月に2回見に行くと、給料はキレイさっぱり無くなります」(Sさん。以下「」内同)
手取りが20万円台半ばなら、家賃8万円は“払えそう”な範囲内だろう。女性がいるお店に行くことはなく、ギャンブルも一切しない。車も持っていない。昼食はさておき、夕食時にかかるお金やタバコなど削れる部分があるのはSさんも理解しているが、「そこまでしたくない」というのが彼の意見だ。
「私は大学生の頃深夜バイトをしていて、一晩で大体1万円、月によっては20万円ぐらい稼いでいました。その後大学を出て、色々なスキルを身につけてキャリアアップもしているはずなのに、それでも学生時代のバイトから稼ぎが数万円しか増えていないと思ったら、何だかバカらしくて……。今さらラーメンにチャーシューを乗せるかどうか悩んだり、ビールを発泡酒に変えたり、タバコを減らしたりするぐらいなら、独身のまま今ぐらいの生活を送る方がまだマシです」