そんな安定志向のBさんが、公務員を目指すようになったのはごく自然な流れで、将来的に海外に住むという選択肢は毛頭なかった。
「僕は“それなりに普通”の生活がしたいだけ。もはや、今の日本にはそれさえも高望みみたいな雰囲気があるけれど、さらに海外に行って博打を打ちたくない。例えば東南アジアが移住先として人気のようですが、わざわざ移住までして“いい暮らし”をしたいとも思いませんし、万が一のことあって路頭に迷いたくもない。確かなものは、言葉が通じて、衛生面が安心できるこの国で、まじめに働いていれば毎月確実に給料がもらえる公務員だと思いました」(Bさん)
生まれ育った日本という国の住みやすさにくわえ、将来への生活不安から自然と海外志向を持たなくなったという若者も、少なくないのかもしれない。