雨が降ると警報が鳴る
一般的にタワマンは「高さ60mを超える20階建て以上の超高層集合住宅」を指すが、法的な定義はない。低層の高級マンションが住宅地に造られるのに対し、タワマンやそれに準ずる規模の高層マンションは、駅や商業施設を含む街の再開発の一環として建設されるケースが多い。眺望やステータスだけではなく、日常生活でも至便性が高いため、子育て世代を含む幅広い層から人気を誇る。
だが、買い手が予想もしなかったトラブルに見舞われるケースがある。2009年に完成した滋賀県大津市の「大津京ステーションプレイス」(14階建て、全108戸)もその一つだ。
「とにかく雨が降ると大変な騒ぎです。火災報知器が誤作動して深夜早朝かまわずサイレンが鳴り響き、おちおち寝てもいられない。漏電の恐れがあるからと、エレベーターも停止してしまうため、階段の昇り降りが大変で……。敷地内の立体駐車場も浸水したため使えず、近所の平置き駐車場を借りています」
やりきれない表情でそう語るのは、新築当初からこのマンションの高層階に住んでいる男性だ。
京都駅から最寄り駅までJR新快速で約10分、琵琶湖にほど近い同マンションの付近には、大規模商業施設や大きな公園もあり、通勤・通学だけでなく子育てにも適した人気マンションとなるはずだった。