だが、新築マンションでの生活に胸を膨らませて入居した早々、通常では考えられない“欠陥”が次々と明らかになっていった。同マンションの施主で売主の不動産会社「大覚」の山下覚史社長が訴える。
「このマンションは当社が事業主となり、南海電鉄グループの南海辰村建設に施工を依頼して分譲しました。しかし、完成してみると設計とは全く違う、問題だらけの工事になっていた。屋上の防水処理が不完全なため、最上階の部屋は雨漏りを起こし、湿気のせいで室内はカビやキノコまで生える始末。とても人が住める状況ではありませんでした」
それ以外にも多くの問題が生じたという。山下社長が続ける。
「地下駐車場はコンクリートのひび割れから地下水が入り込み、水深1m近くのプールのようになって使えない。また、6600ボルトの高圧変電設備の上に排水管を配置するという、常識ではありえない作りになっていたのです。変電設備のすぐ隣はキッズスペースですが、万一漏水した場合、感電の危険もある」
同マンションは大覚が事業主となり、南海電鉄グループの南海辰村建設に施工を依頼して分譲したものだ。大覚側は、調査で発覚した1000か所以上に及ぶ瑕疵の是正を求めたが、施工した南海辰村建設は「瑕疵はない」と主張。両者の争いは2010年に法廷へ持ち込まれ、いまも係争は続いている。
※週刊ポスト2019年12月6日号