高価なゲーム専用機は不要となり、PCやスマホでも、ストレスなく遊ぶことができるようになる。VR、ARの技術進歩が加わることで、臨場感が高まり、視線の位置の選択幅が広がるなど、ゲームの質は飛躍的に高まる。テンセントの業績をみてもわかるが、現在でもゲームの市場規模は十分大きいが、それがさらに膨張することになりそうだ。
遠隔操作の実用性が高まることで新たに生まれる製品サービスとして、最もわかり易いのは、自動車の遠隔操作である。たとえば、北京市内に居ながら、重慶市内を走るトラック輸送車の運転ができるようになる。これは僻地での鉱山開発における建設機械の運転や、放射能、有毒物質、高温多湿などといった人類にとって危険な環境下での遠隔操作による車両や設備の運転などにも応用できよう。こうした技術の先には、日米中の大手企業が現在、し烈な開発競争を繰り広げている自動運転がある。この分野に関して中国は、すでに複数の特定地域で試験運転を始めている。
医療分野では、カメラ、医療ロボットの開発が進むにつれて、遠隔操作による診断、手術が可能となる。中国は国土が広く、住民が広く分散して暮らしており、地方では、病院、医師の数が不足、多くの住民が十分な医療サービスを受けられないでいる。遠隔操作による診断、手術は遅れた地域でのサービスレベルを格段に引き上げることができる。
そのほか、学校教育、物流管理、公共サービス、一般製造現場から日常生活に至るまで、様々なシーンで革新的な効率アップがもたらされることになるだろう。
インターネットを利用する装置としてのスマホの重要性は、将来的にはスマートウォッチ、スマートグラスなどの登場により、低下する可能性もあるが、当面は通信速度の高速化、AI、AR・VR技術の高まりなどにより、一旦、高成長を取り戻すであろう。スマホ、その関連メーカーは成長の余地がありそうだ。
少し毛色の変わったところでは、金属射出成型技術が急速に伸びると分析するアナリストもいる。今後、スマホ部品の精密化、高精度化が進むことになろうが、それに使われる金属部品を製造するためにはこの技術が必要になる。中国本土上場では精研化学技(300709)がその中心企業である。