10月17日付《「貧困専業主婦」記事に悔しさ》(神奈川県34才主婦)
10月28日付《「貧困」それは心の余裕を失うこと》(千葉県42才主婦)
同日付《「豊かさ」それは認め合える世界》(北海道54才主婦)
10月30日付《貧困の連鎖─専業主婦の責任か》(長崎県48才主婦)
──以上は、朝日新聞朝刊の読者投稿コーナー「声」に掲載されたものだ。そこには、悔しさや共感、怒りや驚きなど、さまざまな感情が渦巻いていた。きっかけは、1つのインタビュー記事だった。
朝日10月10日付朝刊に掲載された《「貧困専業主婦」のワナ》。「労働政策研究・研修機構」主任研究員である周燕飛さんが、自身の造語である「貧困専業主婦」の実態について解説した記事だ。多くの女性に衝撃的な内容だったようで、前出の投稿のように、大きな波紋を呼んでいる。
貧困専業主婦の定義や実態については詳しく後述するが、記事の中でショッキングだったいくつかのポイントは、次のようなものだ。
●全国に21万2000人(2016年時点)いると推計される
●貧困専業主婦の4人に1人は不本意ながら専業主婦だが、残りの4人に3人は自ら専業主婦を選んでいる
●「行きすぎた体罰」「育児放棄」など虐待行為の経験がある貧困専業主婦の割合は9.7%で、それ以外の主婦の約4割多かった。特に、育児放棄は2倍以上だった
●貧困専業主婦は子供に教育費がかけられず、学力が不充分になりがちなので、子供に貧困が連鎖する可能性がある
●女性が仕事を辞めると、高卒では1億円、大卒では2億円もの生涯賃金を失うという試算がある
●日本の女性はお金よりも、自らの手で子育てすることに大きな価値を見出すので、貧困専業主婦の3人に1人が「幸せ」と感じており、問題が表面化しにくい
「貧困専業主婦」というキーワードに直面し、多くの主婦が自分の生き方や生活と照らし合わせたようだ。