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「貧困専業主婦」の実態、年240万円で家族4人どう生活する?

近所の知人からもらえる野菜でしのいでいる

 そもそも「貧困専業主婦」とはどんな人たちを指し、どんな暮らしをしているのか。厚労省は、生活に最低限必要な収入を表す指標である「貧困線」を、4人世帯で収入244万円、3人世帯で211万円としている(2015年)。

『貧困専業主婦』(周燕飛著、新潮選書)によると、この貧困線を下回る収入の「貧困世帯」のうち、妻が無職で18才未満の子供がいる夫婦世帯を「貧困専業主婦世帯」と呼ぶと定義される。

 2011年に労働政策研究・研修機構が行った大規模調査では、そうした専業主婦世帯の貧困率が12%にも達していたことがわかった。実に8人に1人、50万人以上が貧困に陥っていたと推計された。

 これまで専業主婦といえば、夫に一定の収入がある家庭に許された「憧れの存在」と思われてきた。しかし、実態はそうではないことがはっきりと示されたのだ。

 直近の2016年の調査では、貧困率は5.6%と急減した。2011年の調査時に比べると半減し、その代わりに妻が非正規として働く世帯の貧困率が8.5%に上昇。これについて、周さんは前出の朝日新聞の記事でこう述べている。

《景気が良くなったことによる一時的な現象ではないかと思われます。短時間パートに出る人が増え、貧困専業主婦は減りましたが、一方で妻が非正規・パートである共働き世帯の貧困率は上昇しているのです。不況になると、再び貧困専業主婦に戻る懸念があります》

 女性の非正規雇用やパートは景気がよくなれば増え、景気が悪くなれば減らされる傾向があり、「雇用の調整弁」といわれる。社会の都合でさっさと切り捨てられてしまう、弱い立場なのだ。

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