豊かな生活を送るため、貧困世帯は妻が働きに出るのが当然のように思えるが、なぜ働かないのか。『専業主婦になりたい女たち』(ポプラ新書)の著者で相模女子大学客員教授の白河桃子さんが話す。
「日本は働く女性が増えたように思いますが、実は5割の女性が第1子出産後に仕事を辞め、専業主婦になります。2人に1人と、いまだに多くの女性が結婚を機に仕事を辞めていることになります。
その後、多くの主婦がパートなどで生活をしのいでいますが、一度仕事を辞めて正社員に戻れるのは実は4人に1人。安易に辞めてしまうと、元の地位に戻るのにはかなりハードルが上がります」
福岡県在住の専業主婦、古賀さん(仮名、33才)も、働きたくても働けない専業主婦の1人だ。
「高校の頃、ひどいいじめにあい、不登校になって高校を中退しました。そのせいで、私の最終学歴は中卒です。これまで居酒屋や100円ショップのアルバイトを経験しましたが、正社員はもちろん、派遣や契約社員として働いた経験もありません。
幸い、22才で結婚した時は、親も安心してくれましたが、夫も高卒で、勤めていた清掃会社の上司のパワハラで精神を病んでしまって。うつ病の診断を受けて、半年前に退社しました。貯金もなく生活できないので、今は生活保護を受けて暮らしています。
自分が働けたらよいのですが、7才と3才の子供に手がかかり、保育園に入れるお金もない。中卒で正社員としての業務経験もないので、育児に理解のあるような仕事には就けません」