専業主婦の再就職先としては、4C(介護、クリーニング、クッキング、キャッシャー)といわれる仕事に就くことが多いという。だが、それも時間に融通が利くわけではない。いくら人手不足で求人が多くても、パート先の条件に合わなければ、古賀さんのような主婦は労働市場から締め出されてしまう。
また、パートをしてもその賃金が安いために、給料のほとんどが保育園代に消えてしまうケースも多い。貧困層にとって、保育園に預けてまで働くメリットがないのだ。
『夫婦格差社会』(中公新書)の著者で経済学者の橘木俊詔さんは、同じような学歴や職歴の男女の「同類婚」によって夫婦の格差が拡大していると分析する。
「共働き世帯における夫婦の所得分布をみると、夫の年間所得が300万円未満であれば、妻の年間所得も200万円未満という割合が7割を占めています。
一方で、夫の年間所得が1000万円を超えると、妻が600万円以上と夫婦揃って高所得者層というケースも少なくない。そうして富裕層と貧困層、どちらにも専業主婦が生まれ、格差が拡大していくのです」
逆説的だが、高学歴の専業主婦ほど、仕事に就けないケースも多いという。主婦の生活実態に詳しい作家の石川結貴さんが話す。
「一流企業で働いていたバリキャリの女性が、一度仕事を辞めて同じ職場に戻ろうとしても、すでに別の優秀な人材が空いた穴を埋めています。結局、主婦がやれる仕事は“4C”ぐらいしかないのですが、そうした成功体験のある高学歴女性にはスーパーのレジ打ちはできないでしょう。結果、夫の収入だけに頼らざるを得なくなり、貧困が進むケースもあります」
※女性セブン2020年1月1日号