日経平均は12月17日に年初来高値を更新したものの、ドル円はあまり方向感が出ない展開が続く。ドル円に勢いが感じられない理由のひとつとして、「機関投資家の動向が影響している可能性も」と指摘するのは相場歴20年以上を誇り、FX(外国為替証拠金取引)などのカリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんだ。ドル円相場に影響を及ぼす機関投資家の取引について、池辺さんが解説する。
* * *
12月は米中貿易協議の第1段階合意、イギリス総選挙の与党大勝などを受け、日経平均は約1年ぶりとなる24000円台に回復しました。一方、日経平均とドル円の動きは相関することが多いですが、ドル円に高値を追い続けるような動きは見られず、それどころか下落する場面も散見されます。こうした現状に違和感を覚える投資家も多いのではないでしょうか。
なぜこのような展開になったのか、その理由のひとつとして海外投資家が日本株市場への買いポジションに対するリスクヘッジとして、ドル円を売っていた可能性が考えられます。ドル円の売りポジションを保有しておけば、日経平均の下落により評価損を抱えたとしても、ドル円の売りポジションで利益が出るため、その分の保険として機能すると考えるからです。
リスクヘッジの方法としては日経平均先物などを使う方法もありますが、ここでドル円をヘッジとして活用する理由は、流動性の高さがあるからです。日経平均先物市場で、大口のポジションを解消する場合、流動性を担保できず、価格が暴騰・暴落してしまう可能性があります。一方で1日の取引金額が1兆ドルを超える為替市場は流動性が高く、多額のポジションでドル円をショートしても、日経平均先物などの相場ほど価格に影響を与えることはないでしょう。大口の機関投資家ともなると、あまりにも大きな資産を動かすため、ポジションを作る・解消することにも神経を注ぎます。
さらに日経平均先物は売買代金や取引高が公表されるため、自分たちがどのようなポジションを保有していてどのくらいポジションを落としたのか、晒されてしまうようなものです。機関投資家はできる限りポジション動向が見えないように取引をします。