コンビニの24時間営業は「必要」か「不要」か?──本誌・週刊ポストの読者アンケートでは【必要】22.0 %、【不要】77.0%という結果になった(*「2020年日本の重要問題について意見をお伺いします」から集計。998人が回答。100%に満たない部分は無回答)。
ここでは、見解の異なる2人の識者の意見を紹介しよう。
●佐藤昌司氏(店舗経営コンサルタント・必要派)
昨年2月、人手不足で24時間営業をやめたセブン-イレブンの店舗が話題になりました。もちろんオーナーや従業員の労働環境は改善されるべきですが、それはあくまでも雇用形態の問題であり、24時間営業をやめるのはデメリットのほうが多いと考えます。
コンビニは「いつでも開いている」という安心感によって、社会的インフラとしてのブランド価値が認められ拡大してきました。24時間の看板を下ろす店舗が増えれば、全店舗一律で同じサービスを提供するコンビニの強みが失われる。
さらに24時間の店舗と時短の店舗が並存すれば、配送などの効率が低下する懸念も出てくる。24時間営業を継続しなければ、6万軒近くあるコンビニ全体に悪影響を及ぼしかねないのです。
●加谷珪一氏(経済評論家・不要派)
「失われた20年」と言われる日本経済の中で、個人消費は伸び悩み、コンビニ店舗にとっては「お客さんがあまりお金を落としてくれない」という状況が続いています。それでも成長を続けるため、コンビニは「大量出店」を続けてきました。
近いエリアに集中出店する戦略を「ドミナント」と呼びますが、現在はその“限界”が現われてきたと言えます。近距離にコンビニが乱立することでお客さんを奪い合い、加盟店の利益が減ってしまった。そうした中で深夜営業のスタッフを確保しようとすると、人件費が上がり経営が苦しくなってしまいます。
夜間の客数が多い店舗もあれば、少ない地域もあるはずです。業界全体やスタッフが疲弊するやり方ではなく、地域によって「時短営業」の導入を検討すべきです。
※週刊ポスト2020年1月17・24日号