合併による「異文化交流」が奏功するケースはほかにもある。
「出社して朝のテレビニュースで合併を知りました。“財閥の垣根を越えて提携することもあるんだ”と驚きました」
そう語るのは、明治安田生命出身で、YSコンサルタント代表の岡田基良氏だ。岡田氏は山口県で安田生命の統括営業部長をしていた2002年に、明治生命との合併を知らされた。
「福沢諭吉の弟子だった阿部泰蔵が創立し、学者肌で官僚主義的な明治生命に対し、丁稚上がりで政商となった安田善次郎が創立した安田生命は野武士軍団のイメージです。実際の保険営業では、企業単位の職域営業が得意な安田と、地域の個人を手広く開拓する明治の棲み分けがありました」
合併後は、企業風土の違いが相補的に機能したという。
「もちろん全てではありませんが、明治の社員がアカデミックな営業企画や戦略を練り上げ、安田の野武士軍団が業務運営部門を担当することで、合併のシナジー効果が生じました。業界3位のポジションを得て、法人にも個人にも強みを持てるメリットもありました」(岡田氏)
「1+1」が「2以上」になるのも企業合併が発揮するエネルギーなのだ。
※週刊ポスト2020年1月17・24日号