2021年からの英語民間試験と記述式の導入をめぐって揺れに揺れた大学入試センター試験が今年もやってくる。共通一次時代を含めると40年に及ぶ大学入試センター試験には数多のドラマがあった。
センター試験の問題作成に関する検討資料は厳重に管理され、外部に持ち出すことは固く禁じられている。「個人所有のパソコンは問題作成には使用しない」「関係資料の一切は、センターの職員が確認したうえで、センターの保管庫で管理する」「資料が不要になって処分する場合にも了承を得たうえで廃棄する」などの規則がある。
しかし、2007年12月に個人のパソコンに資料を入れて持ち帰った問題作成者が盗難に遭ってしまう。内容の流出は確認されなかったものの、2008年は初めて問題が差し替えられる事態となった。この一件を引き起こした大学教員は同年1月31日付で解任された。
他にも流出トラブルはあった。模範解答を1分でも早く公表すれば、翌年の生徒獲得競争で優位に立てる──そんな予備校の思惑が、前代未聞の事件を引き起こしたこともある。
2013年の初日、長崎市の活水女子大で女子受験生が『地理歴史・公民』の試験中に途中退室し、校門付近で待機していた予備校の男性職員に問題を渡したのだ。教室内にいた6人の試験監督は体調不良と思い込んで退室を認め、付き添った係員も受験生を1人にしたという。
生徒の机に問題冊子がないと気付いた大学側は、業務妨害の疑いがあるとして県警に通報。昼過ぎ、予備校職員が問題を受け取るため、再び大学前で待機していると警察から声を掛けられ、事情聴取を受けた。
●イラスト/トーマス・オン・デマンド(アスタリスク)
※週刊ポスト2020年1月17・24日号