企画が通ると、今度は台本作り。これも放送作家の大切な仕事だ。その台本を元に撮影が行われ、今度はその映像を元にナレーションを書き、ナレーション撮りに参加する場合もある。
「放送作家は芸人と同じで、駆け出しの頃は本当にお金がないんです。先輩作家が行く会議について行って、余った弁当を持って帰ってなんとか乗り切ってました。企画を考えて提出してもそれが通らなかったらお金にならないので厳しいですね。ただ、企画が採用されて番組の反響があったときはものすごく嬉しいです」
苦労して企画書が通っても1本1万円程度のギャラしか出ないこともある。さらに放送作家にとって厳しいのが、テレビ局のコスト削減の流れだ。番組の制作費は減少傾向にあり、放送作家はターゲットになりやすい。実際、放送作家の人数が減らされたり、局のスタッフだけで済ませてしまうケースも増えている。
その一方で、売れっ子作家となると、会議に出るだけで何万円も貰えるという人もいる。何本もレギュラー番組を持ち、年収億を超える放送作家もいるが、もちろんそれはほんの一握りである。
放送作家として売れるために必要なのは、先に説明した情報量と、そしてもう一つが人脈だ。番組プロデューサーやディレクターとの関係で仕事が決まることも少なくない。
「行ける範囲であらゆる場所に顔を出しています。そしてとにかく多くの人と名刺交換をして名前を覚えてもらうことが放送作家にとって大事だと思います。あと、裏方の人はよくスタッフロールを見てますね。そこで放送作家をチェックしているみたいです」
よく見る番組のスタッフロールを確認してみると同じ放送作家が関わっているということがあるかもしれない。今度はその放送作家がどんな番組に関わっているのかを調べてその番組をチェックしてみると自分好みの番組に出会えるかもしれない。