東京・港区の麻布界隈には、“麻布妻”と呼ばれる富裕層女性たちが住む。その中に一定数いるのが「医者の妻」だ。彼女たちは時々集まっては一緒に食事をしたりシャンパンを楽しんだりするという。そこではどんな会話が繰り広げられているのか──。自身も麻布妻でライターの高木希美氏が、知られざる「医者の妻の会」に潜入した。
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私が参加した医者の妻の会は、90歳近いマダムから新婚の20代まで、幅広い年齢層の女性で構成されていました。夫の病院もバラバラ、勤務医もいれば開業医もいるし、診療科もそれぞれです。メンバーには麻布妻が多いですが、麻布に住んでいなくても紹介があって医師の妻であれば参加することができます。時には、医療機器や製薬メーカーの社長夫人も参加することがあります。
集まるときの名目は“シャンパンを楽しむ会”。手作りのピンチョスや生ハムなどを持ち寄って、グラスを傾けながら情報交換をするのです。中には、夫婦で参加する方もいます。
会場はマンションにあるパーティールームを借りることが多く、司会役の女性が新しい参加者を紹介したり、話を振っていったりします。女性たちの中には趣味の延長で作った洋服やアクセサリーをネットで販売している人もいて、それを持ちこんできて“即売会”のようになることも。
また、自然災害の被災地へみんなで寄付しようといった話や、慈善活動をしようといった話がまとまることもあります。
例えば、この冬の集まりに初参加した27歳のサクラさん(仮名)は、夫が開業した美容クリニックで出している美容グッズをたくさん持ってきていました。父親の仕事で香港に15年住んでいたこともあり英語も堪能、ファッションセンスも日本人離れしています。この日はタイトなレースのワンピースを着て、美容院で髪をばっちりセットして来ていました。