年々“出玉性能”が低下してきていると言われるパチスロ。現行の「6号機」と呼ばれるパチスロ機では、一撃の出玉が2400枚以下という制限がかかっている。パチスロ事情に詳しいフリーライターの藤井夏樹氏が説明する。
「パチスロ機においては、つねに“射幸性”が問題視されています。射幸性とは、言い換えれば“ギャンブル性”ということ。つまり、短時間で大量の出玉が出るような性能のパチスロ機は、規制されるのです。当然、短時間で大きく勝つ可能性がある機種は、その分短時間で大きく負ける可能性もある。そういった機種にハマった結果、ユーザーが多額の借金をするようになったり、依存症のような状態になったりする危険性も高くなるということですね。
1992年頃から2005年頃までに登場していた4号機の時代がもっとも射幸性が高く、5号機へ移行したことで出玉性能は大幅に制限されました。しかし、出玉性能が落ちるとユーザーも減ってしまうということから、メーカー側は徐々に射幸性の高い機種を発表するようになり、5号機のピーク時はそれなりに出玉性能が高い機種もありました。そして、再び6号機となって、出玉性能は制限されたのです」
出玉性能が規制されるたびに、パチスロファンはそれなりに離れていくというが、なかにはずっと打ち続けているという人もいる。40代後半の男性会社員・小川さん(仮名)は、20代前半からパチスロを打っていた愛好家だ。
「私がパチスロを打ち始めたのは4号機の時代で、確か1990年代の終り頃。当時はそんなに複雑なシステムの機種も少なくて、“目押し”(回転しているリールの動きを見て、リールを止める技術)の精度で出玉を稼げる時代でした。演出も全然派手ではなかったけど、地道に打って遊んでいました。
そこから20年以上経っているわけですが、どんなに出玉が規制されてもパチスロをやめることはありませんでした。“全然勝てない”と感じていても、どうしても打ってしまう。借金したり、生活が破綻したりしているわけではないので“依存症”ではないとは思うのですが、“パチスロホリック”という状態なのかも。そもそも“パチスロをやめたい”と思ったこともまったくないですし」