米NASDAQ市場に上場するテスラ(TSLA)の電気自動車事業は、どうやら軌道に乗りそうな見込みだ。株価がそうした期待を捉えて急回復している。
2019年6月3日の場中で株価は176.99ドルを記録、約3年3か月ぶりの安値となったが、その後、10月下旬の短い期間に急騰、保ち合いを経て、12月中旬以降急騰している。2020年1月13日の終値は524.86ドルまで上昇、過去最高値を更新しており、昨年6月の安値と比較すると2.9倍の水準となっている。
同社が今後大きく成長するためには、量産車であるモデル3の成功が不可欠である。その点で2019年10月23日の決算発表は一つの転機となった。
2019年7-9月期の純利益は▲54.0%減の1億4300万ドルと減益ではあったが、3四半期ぶりの黒字を確保した。市場では、利益率の低い量産車“モデル3”の販売は大きく増えるがその分、利益率の高い高級車“モデルS”、“モデルX”の販売は落ち、収益は圧迫され、赤字は免れないと見られていた。しかし、生産効率の大幅な向上があったことで黒字転換となり、これが大きなサプライズとなった。
量産化が上手く行くかどうかについてだが、第4四半期の納車台数が10万台を超え、年間の納車台数が36万7515台となった。当初目標である36万台を超え、生産が順調に進んでいることが確認できたことで、これも好材料となった。
ただ、モデル3は量産車とはいえ、高級車の部類に入り、競合先は、ジャガー、ポルシェ、メルセデスなどの高級ブランド車となる。アメリカ、欧州では、こうした高級車クラスの競争は厳しい。今後、さらに大きく成長するためには、世界最大の市場規模を誇り、今後も成長が期待される中国市場を開拓することが不可欠であろう。