2020年から介護保険料が年間最大1万円値上げされる。さらに、3年に一度の改正を迎える2021年には介護に関する2つの負担増が準備されている。
1つは低所得者が特別養護老人ホームに入居した場合に受けられていた食費と居住費の補助の削減。厚労省は年金額120万円を超える人に食費を全額自己負担させる方針で、対象者は年26万円もの負担増だ。
さらに特養での介護サービスの利用者負担増も検討されている。これまで所得に関係なく上限が一律4万4400円(食費・居住費除く)と決められていたが、所得によって上限額が変わり、高所得世帯の上限額は14万100円まで引き上げられる見込みだ。
介護費用の負担増にはどう立ち向かうべきか。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子氏は、適切な要介護認定を受けることが重要だと語る。
「一定の負担でサービスが受けられる支給限度額は『要支援2』が月10万5310円なのに対し、『要介護1』は16万7650円で、1段階違うだけで月6万円、年間70万円以上の差が生じます」
要介護認定を受けるには自治体の窓口やホームページで「介護保険要介護申請書」を入手し、提出する。
自治体によっては申請時に被介護者の状況を記載する「質問票」の提出を求められる(東京・千代田区の例を別掲)。書き方次第で調査員による認定調査の結果を左右しかねない重要な書類だ。
「自治体によって書式は異なりますが、『一人でトイレに行けない』など、日常生活で困っていることを具体的に書くこと。余白が足りなければ別紙にまとめてもいい(ポイント1、2)。