「今月は先月よりも多く働いた気がするのだけれど…」。給与明細を見て、疑問を抱いたことはないだろうか。しかし、勤め先に尋ねて揉めごとになるのは嫌だからと、そのままにしているケースが多いだろう。「まあ、いいか」で終わらせてはいけない。あなたは“タダ働き”させられているかもしれないのだ。
実際に、大手コンビニのセブン-イレブン・ジャパンは、全国各地のアルバイトやパート従業員に残業代の一部未払いを起こし、昨年末、謝罪会見を開いている。
そういった給与に関するトラブルに遭わないため、私たちは何を知っておくべきだろうか。対策は、仕事を探す時から始まっている。労働組合「首都圏青年ユニオン」の結成に携わり、さまざまな労働問題に取り組んできた労働運動家の河添誠さんは「募集要項を記録しておくこと」と話す。
「張り紙ならば写真を撮ったり、インターネットなら印刷するなどしておくこと。実際の労働条件と違った場合に証拠となります。労働条件は、労働基準法によって、雇用者が働き始める前に明示しなければならないと定められていますから、必ず書面をもらうようにしたい。
雇用契約書へのサインが必要な場合は、契約書の中に『労働組合に入ってはいけない』『業務内容を口外してはならない』などのおかしな条項がないかチェック。もし労働基準法に反するようなことが書いてある場合は、その書面は無効になります」
雇用契約書などの書面は、働き始めてからも絶対に捨ててはいけない。雇用条件のことで揉めた際の重要な証拠となり得る。
次に重要なのが給料日にもらう給与明細だ。特定社会保険労務士の光嶋卓也さんが見るべきポイントを解説する。
「残業した場合、『勤怠』欄に時間外労働を示す『残業時間』が記載され、時給の25%の割増分が『支給』欄の『残業手当』に記載されます。残業したにもかかわらず、残業手当に関する項目がない場合はおかしいと考えるべきでしょう」