そのほかに注意したいのが「控除」欄だ。光嶋さんが続ける。
「公的保険料や源泉所得税・住民税は給料から天引きしても問題ありませんが、それ以外に『〇〇会費』『〇〇使用料』などの名目で給料が引かれていた場合は、違法な天引きである可能性があります」
残業時間の“数え方”にも気を配る必要がある。残業代は1分単位で計算しなければならないので、分数が刻まれていない場合は細かい部分を切り捨てている可能性がある。
そんな時は、タイムカードのコピーがあれば細かい実働時間を計算することが可能だが、残業代を正しく払わないような会社では、「タイムカードは所定の時間に打刻するように」などと公然と申し送りしていることがある。どうすればいいのか。労働法に詳しい渋谷共同法律事務所の萩尾健太弁護士が指摘する。
「労働時間は、勤め先の店舗が開店したり、具体的な仕事が開始した時間ではなく、制服に着替えたり準備をする時間、仕事後の片付けの時間も含まれます。明らかにタイムカードよりも労働時間が長いと感じる場合は、自身で出退勤時間をメモしたり、職場の時計を出退勤時にスマホで撮影しておくことをおすすめします。デスクワークなら、パソコンを立ち上げた直後と帰る時に、私用アドレス宛に社用アドレスから出退勤時間のメールを送っておくことも有効です。こうすると、少なくともその時間は確実に働いていた証明になります」
こういった毎日の“証拠集め”が、いざという時、頼りになる。
※女性セブン2020年2月6日号