決まった料金を支払えば、一定期間は「○○放題」―─「サブスクリプション(サブスク=定額制サービス)」を導入する企業が急増中だ。飲食からレジャー、公共交通まで、使い方次第では出費を大きく抑えられるように見えるが、そこにはメリットだけでなくデメリットも存在する。
居酒屋チェーン「金の蔵」は、月額4000円(税込み)の定期券を購入すると生ビールなど60種類以上が120分飲み放題になるサービスを実施。通常、同じ内容の飲み放題は1980円(同)なので、単純計算すると月3回の利用で元が取れる。グループ内で1人定期を持っていれば、同席者も別途、割引サービスが受けられる。ただし、定期券利用時は「お通しとツマミで900円以上の注文」が決まりだ。
定期券を購入した50代男性が語る。
「お通しとツマミ1品で済ませば1000円かかりませんが、それだけで2時間も飲み続けるのは厳しい(笑い)。酒が進めばツマミが欲しくなり、3品、4品と頼んでしまいます。通えば通うほど得をしていることになりますが、結果として出費も意外とかさむという不思議な感覚です」
金の蔵を運営する三光マーケティングフーズ広報によれば、「お客様が月3回ちょっと行けば元が取れる設定を意識しましたが、(フードの最低注文額である)900円以上、料理をオーダーしてくださるお客様が多い」という。
追加のツマミなしで、ひたすら飲み続ければ“お得感”は増すが、そうはいかないようだ。
※週刊ポスト2020年2月7日号