春節休暇、証券市場再開も延長
中国国務院は全国規模の措置として27日、人民全体の休日である春節休暇について、これまで1月24日から30日までと決めていたが、それを2月2日まで延長すると発表した。証券市場についても、従来は1月31日から取引再開の予定であったが、2月3日に延期された。
武漢市の封鎖は期限が切られていない。春節明けも交通閉鎖が続きそうである。武漢市の主力産業は自動車、鉄鋼、通信関連などであり、これらの分野では全国レベルで供給面への影響がありそうだ。
そのほかの地域では、上海市が2月9日まで、蘇州市が2月8日まで、企業の休業措置を決めたと発表している。春節休暇の終了までに感染拡大が収まらないようであれば、全国的に広範な地域で生産が滞る可能性がある。
需要面だけでなく、供給面でも影響が出ることで、中国経済はもとより、世界経済への影響も避けられないだろう。
ただ、生産活動の低下は労働者の稼働率低下が要因であり、一時的な要因である。感染拡大が収まれば回復は速い。景気減速に伴い行われるであろう減税、補助金、金融緩和政策などの一連の需要拡大策の効果も加わり、1年を通じてみれば、中国経済、世界経済への影響は軽微に収まる可能性はある。
ちなみに、あれだけ大騒ぎした2003年のSARS騒動では、小売売上高が明らかに影響を受けたのは4~6月の3か月である。年間の実質GDP成長率の推移をみると、2002年が9.1%、2003年が10.0%、2004年が10.1%。経済への大きな影響はなかった。
中国本土の株式市場は2月3日より再開される。ネガティブサプライズを一気に織り込むことになる同日の株価は急落リスクも大きいが、当局の流動性供給の程度次第では、投機目的の資金が潤沢となり、案外早く戻る可能性もある。市場の推移を冷静に見守りたい。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。