都のオリンピック・パラリンピック準備局は、大会後は安い利用料金を設定し、「多くの都民の方に末永く利用していただくということが重要」と“住民サービス”の側面を強調するが、運営コストの圧縮が大きな課題であることに変わりはない。
東京都が整備した五輪の新競技場(恒久施設)で運営赤字が予想されているのは他に、水泳の「東京アクアティクスセンター」「大井ホッケー競技場」「夢の島公園アーチェリー場」で、海の森とカヌー・スラロームセンターを合わせた赤字額は年間約11億円に上る。
都の職員として五輪誘致に携わった経験がある国士舘大法学部客員教授の鈴木知幸氏が指摘する。
「海の森競技場などは主に夏場しか使われず、需要も見込めない。莫大な費用をかけてそうした施設を維持するくらいなら、更地に戻してしまったほうが合理的とも言えます」
継続的に有効活用されるのか、“祭りのあと”も注視しなくてはならない。
※週刊ポスト2020年2月21日号