新型ウイルス肺炎の猛威が収まらない中、中国は経済活動の再開に踏み切った。中国国務院は2月8日、「疫病を科学的に防ぎ、コントロールし、企業の生産開始を秩序立てて上手くやるための業務を切実に強化することに関する通知」を発表した。
居住区の出入りを厳しく制限するなど、群衆の隔離を進めることで感染拡大を防ぎ、検査能力の強化、企業内で感染予防を徹底させるといった対策をしっかり行った上で、交通網を通常の状態に戻し、従業員の職場復帰を促す。疫病の防止・コントロール、エネルギー供給、交通物流、都市公共サービス、医療用物資、食品など生活に必須となる製品、サービスの供給は重要である。飼料生産、流通小売などを含め、こうしたところから優先的に生産活動を再開させる方針である。
患者数の増加が止まらない状態での生産活動の再開である。経済面への影響を考えると、全国規模でこれ以上、生産を止めておくことは難しい。中国経済は、まだしばらくの間、緊迫した状態が続きそうだ。
ただ、中国の株式市場は金融当局による大量の流動性供給や、経済支援策への期待の高まりなどから、堅調な値動きとなっている。上海総合指数は先週前半の急反発後、高値圏で推移している。
中国本土市場では予想通り、新型ウイルス肺炎関連セクターが注目された。具体的には、マスク、抵抗力を強める薬、風邪薬、ワクチン、ゲーム、EC取引、カップ麺、スナック菓子、出前などの株価が上昇した。
こうしたセクターでは、業績への影響は一時的だと思われるが、一方で、今回の感染拡大を通じて経済環境が変化し、それに伴い長期的に成長が加速しそうなセクターもある。以下に代表的な3つのセクターを紹介しよう。