1つめは、オンライン医療関連である。冬のこの時期、発熱する病人は多い。患者側からすれば新型ウイルス肺炎である確率は低く、病院に行くことで逆に感染してしまうリスクがある。医療機関側からすれば、多数の患者が一度に訪れた場合の対応が難しい。インターネットを通じた問診、適切な医療機関への誘導などのサービスの充実が望まれる。
平安保険(02318)傘下の平安健康医療科技(01833)がオンライン医療サービスとしては最大手である。
2つめはクラウドオフィス関連である。製造部門は難しいだろうが、管理部門、たとえば経理、総務、企画、マーケティング、調査、人事、営業サポートなどでは、必ずしも出社せずとも業務を行うことができるだろう。自宅勤務を可能とすることで、企業側は交通費、一部の固定費を削減することができ、従業員側は病気の感染を防げるだけでなく、子育てや、家事、余暇の拡大などの面で大きなメリットがあるだろう。
情報のやり取りをサポートする微信を提供するテンセント(00700)、クラウドを利用したビデオ会議システムなどを展開するズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM、NASDAQ)、文章作成ソフトなどを開発するキングソフト(03888)などが、注目されている。
3つめはオンライン教育関連である。学校教育はオンラインと相性が良い。中国は国土が広い。人口密度の低い僻地における学校教育は、通学距離の長さや教師不足から、都市部と比べ学生の負担が大きい。今回は特殊な状況によってオンライン教育の重要性が認識されたわけであるが、中国は本来、オンライン教育への需要は大きい。
オンライン教育関連の注目企業は、オンライン教育サービスを提供する拓維信息系統(002261)、インターネット・プラットフォームの運営を行う焦点科技(002315)、教育用多機能パネルを製造する広州視源電子科技(002841)などである。
2003年のSARS騒動の際には、それがEC取引を大きく成長させる一つの要因となった。今回の騒動では、社会的インパクトはさらに大きく、こうしたサービスが大きく成長する原動力になる可能性もあるだろう。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。