上長たるもの部下をマネジメントしなくてはならないのだが、A氏は新しい会社にドライ過ぎる体質があると考えている。
「上から命令されたら普通やるべきですよね? 私も前の会社の時はそうした姿勢で仕事をしていました。だから自分が上に立った時、下の人間もそうすべきだと思うのですが、新しい会社ではその考え方の方がおかしいと思われていたのです」
結局A氏は部下を統率することができず、居心地も悪くなりわずか1年で退職。続いてはさらに小さなベンチャー企業に転職した。年収は最初のメーカーの時が650万円あったが、次の会社では600万円、今回は450万円になった。
3社目の会社では役職はつかなかったため、「部下が動いてくれない」という悩みはなかった。ただ、「周囲のレベルが低過ぎる」と感じるようになった。同氏は有名私大を出ており、自身の地頭は悪くないと思っている。最初に入ったメーカーでは、当たり前のようにしていた何気ない会話でも、次の会社、そしてさらに次の会社と移るにつれ、話が通じないことも増えたという。
「たとえば、因数分解の話やら、何らかの話を日本史を交えて話すと、ポカーンとされるんですよ。最初の会社では当たり前に通用していた話が通じず、ストレスを感じてしまっています。今では最初の会社を辞めなければよかったと本当に後悔しています。安易な転職ブームというか“煽り”に乗らなければよかった……」