この春、進学や就職などの新生活を前に、地方から上京して来る人も多いだろう。そこで気になるのが東京の物価だ。2017年の消費者物価地域差指数を見ると、全国平均値100に対して、東京都区部は105.1と突出している。だが、実際に上京して一人暮らしをすると、この数字以上に大きな負担を実感する人も少なくない。地方出身者が東京生活で、金銭感覚がどう変化したかを聞いた。
関西地方出身の20代男性・Aさんは、就職を機に東京に引っ越してきた。
「とにかくすべての物価が高い。家賃をはじめとするあらゆる消費に、約1.5倍の金額がかかる印象です。なかでも驚いたのが、食への意識。関西と比べると“安くて美味しい”店が少なく、美味しいものを食べたいと思えば、ある程度の出費を覚悟しないといけない。飲み会では1人3000円でも高いと感じていました。東京に慣れた今では、1回の飲みに5000円以上かかっても驚かなくなりました」
大学進学と同時に上京してきたのは、北陸出身の20代女性・Bさん。東京に来てから「不必要な出費が増えた」という。
「近くの商店まで数10kmかかる地元では、飲み物を買うのも一大事。至る所にコンビニや自販機のある東京とは違って、その都度、買い物をするという習慣がありませんでした。畑で採れた野菜をもらう代わりに、お米を物々交換することも当たり前な環境で育ったのに、今ではちょっとした空腹や喉の渇きすら我慢出来ず、コンビニでいろいろなものをこまめに買ってしまうようになって、出費も膨らんでいます」
中部地方出身の30代女性・Cさんは、以前は「無駄」だと感じていた駐車場代を、抵抗感なく支払うようになった。