新型コロナウイルスの猛威が続く中で、2月の中国本土株式市場は活況を呈している。春節休暇明けの2月3日と2月21日時点の株価を国際比較すると、香港ハンセンは3.6%、NYダウ、韓国総合は2.1%、日経平均は1.8%上昇に留まったのに対して、上海総合指数は10.7%上昇している。
春節休場前最後の取引日である1月23日と比べても、そのほかの市場がいずれも小幅に下落したのに対して、上海総合指数は2.1%上昇した。24日の欧米市場に続き、25日の東京市場でも株価が急落し、世界同時株安の様相を呈しているが、上海総合指数は小幅安に留まっている。
新型ウイルス肺炎は2019年12月に発生、1月23日には武漢市を都市封鎖したにもかかわらず、感染拡大は止まらず、2月に入ると、逆に中国全土、世界中に広がった。2月24日24時時点のグレーターチャイナ(中国本土のほか、香港、マカオ、台湾を含む)における患者数は7万7779人で前日と比べ517人増えている。死亡者数は2666人であり、71人増えている。
前回記事で、現地の状況をお伝えしたが、現在も中国国内での人の移動は大きく制限されている。正確にわかる長春市の現状を補足しておくと、マンションを出る際も、地下鉄に乗る際も、マスク着用の確認、体温測定が行われる。地下鉄乗車に際しては、改札前で微信(ウィーチャット)を使って二次元バーコードを読み込むことで乗車登録が行われる。ただ、北京市ではそこまでは行われていないようだ。
現地のマスコミ報道によれば、マスクを着用せずに大声で話をしながら道を歩いている人は、ウイルスをばらまく悪意のある人物とみなされ、逮捕されるそうである。
ここまで厳しく管理していながら未だに流行を止められず、消費は大きく落ち込み景気の悪化は避けられない。にもかかわらず、なぜ、中国本土株は上昇しているのか。
そもそも、株価は、資金量でウエイト付けされた、売りたい人、買いたい人のバランスの上で決定される。景気見通しがどれだけ悪くとも、手元資金が潤沢になればプレイしようとする投資家は増える。景気が悪くなるからといってすべての銘柄の業績が悪くなるわけではない。ファンダメンタルズの相対的な位置付けをもとに買いに出る。