日本でも、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される段階に入ってきた。二次、三次と感染が広がる中で、もはや水際対策では効果を成さない。国内における医療体制の充実、感染予防対策の実施が急務となるだろう。
昨年12月に武漢市で発生した新型ウイルス肺炎だが、当局が1月23日から武漢市およびその周辺都市を交通封鎖することで拡散を防ごうとした。しかし、2月17日24時現在で発表されている中国全体の感染者数(累計報告感染者数)は7万2436人にまで拡大している。この内、武漢市を含む湖北省が82.8%を占めている。湖北省の感染者数が多いのは確かだが、残りの17.2%は中国全土に広がっている。広東省の1328人を筆頭に、河南、浙江、湖南など4つの省でも感染者数が1000人を超している。
新型ウイルス肺炎は、飛沫、接触により呼吸器から感染する病である。人が多く集まるところで感染しやすい。たまたま、春節休暇が1月24日から始まり、中国全体が休日となったことで、拡散初期には多くの人が密集するような状況が極力抑えられた。政府の指導方針により、しばらくの間は企業活動の停止が続いたが、2月10日以降、そうした指導方針は、湖北省を除き解除されている。それでも実態として、人の移動を制限する措置は現在でも全国規模で続けられている。
2月17日の時点で、東北地方の二線都市である長春市に暮らす知人に、現在の状況を確認したが、依然として政府主導による隔離政策が続けられている。
知人の住むマンション小区は全体で10棟が密集しているが、外周を店舗などの施設で取り囲むことで、防犯上、出入口は4か所に限られている。現在、それが正面を除いてすべて封鎖されている。基本的にマンション内に留まるよう区政府より勧められている。どうしても外出したい場合には、7日付で発行された住民証明書を提示しての出入りとなる。