以上をまとめますと、
・キャッシュレス化の進展でお金は「便利になった」と思う人が多数(56.3%)
・とはいえ、お金の使い過ぎを防げるのは「現金」だと思う人が多数(69.1%)
・また、どこでもキャッシュレス決済ができるとしても「現金を持ち歩きたい」と思う人が多数(53.7%)
・男女では、男性のほうが女性と比べてキャッシュレスに対して肯定的な回答が多い
という結果となりました。キャッシュレス化の動きが進むなかでも、生活者の現金に対する信頼はまだまだ根強いものがありそうです。
政府のキャッシュレス化推進の目的には、前述の消費活性化以外にも、店舗等の無人化省力化による生産性向上が掲げられています。ただ、そのためには「現金決済もキャッシュレス決済も両方対応」という現在の状況ではまだ不十分で、さらに「キャッシュレス決済のみ対応」という状況へと移行していく必要があります。
物事をどちら側から見るかの違いではありますが、本質的な課題は、キャッシュレス化の推進というよりはむしろ、生活者の気持ちの「現金離れ」をどう促していくかにあるのではないか。そんなことを感じさせる、調査結果ではないかと思います。
◆レポート/三矢正浩(博報堂生活総合研究所 上席研究員)
参考情報
○「お金に関する生活者意識調査」
・調査地域:全国
・調査対象:20~69歳の男女、3900人
・調査手法:インターネット調査
・調査期間:2019年11月1日(金)~11月5日(火)