「最強の外食産業」──回転ずしがそう呼ばれているのをご存じだろうか。日本に回転ずしが誕生したのは、東京タワーが完成した1958年。大阪の「廻る元禄寿司」が草分けとされる。特許が切れるまで元禄寿司の独壇場だったが、1978年に特許切れすると、回転ずしはチェーン店から個人経営まで、全国津々浦々、爆発的に広まった。
「バブル崩壊から平成不況という苦しい時期も含めて、外食産業の中で、売り上げを伸ばしているジャンルは唯一、回転ずし業界だけ。だから、最強の外食産業と呼ばれているんです」(外食業界紙記者)
「安くてうまい店だけが生き残る」というシンプルで苛烈な競争を経て、回転ずしは独自の文化を築いてきたという。その1つが、徹底した「原価主義」だ。
「一般的な飲食業の原価率は15~30%です。そんな中で、回転ずし業界は40~50%と驚異の原価率の高さを示しています。1皿100円だとしたら、仕入値が平均50円だということ。この数字はほかの業界ではまず不可能です」(前出・外食業界紙記者)
調達・購買業務コンサルタントの坂口孝則さんがその秘密を明かして言う。
「人件費の安さと廃棄率の低さが大きな理由です。近頃は『ハイブリッドレーン』と呼ばれる、通常のレーン以外にタッチパネルで注文したネタを直接客に届けるシステムを採用する店舗も増えていますが、これは無駄になるすしを減らせるうえ、席まで運ぶためのホールスタッフの人員も削減できるのです」
人件費を下げる、無駄な出費を抑えるといった企業努力が実を結び、高い原価率ながら利益を出せているわけだ。